葬儀用生花と言えば、厳密には供花、枕花、献花の三種類に分かれますが、通常葬儀において「生花」という場合は供花を指すことが多いようです。
実際に葬儀社の方などは、祭壇のそばに飾られる芳名名札のついた供花スタンドを生花と呼んでいるそうです。
地域の慣習や宗教によって葬儀の形式が違うように、生花の呼び方も違うのでお互いのイメージを合わせるために、例えば「生花」といった場合に何を指しているのかをご遺族と葬儀社または花屋ですり合わせも必要な場面もありそうです。
急な訃報を受けて、友人代表、会社代表としてご葬儀にお悔やみのお花を贈ることもあるかもしれません。
突然の事に慌てたり、迷ってしまうことがないように、事前に確認しておきましょう。ここでは主に、供花を贈る立場として知っておきたいことについてまとめてみました。
葬儀用の生花の種類3種について

まずは葬儀用の生花の種類について紹介させていただきます。
枕花
亡くなられて間もない、葬儀の前まで枕元を飾る花のことです。親類親族や特別に故人と親しかった方が用意することが多いとされています。
お悔やみの気持ちを大切にする白が中心のフラワーアレンジメントで、白バラ、白ユリ、白コチョウラン、白トルコキキョウなどの花材が使われることが多いようです。
高さ、幅ともに60cm~80cmの大きさで、枕元に置くので大きすぎないものです。注意としては、枕花として花束を贈る事は避けます。
束を広げて花瓶へ挿す準備が必要になるために、故人が亡くなられて間もない多忙なご遺族の手を煩わせることになるからです。
献花
キリスト教式の葬儀の場合、仏式の葬儀でお焼香があるように、別れとお悔やみを伝える儀式として献花を行います。カトリック、プロテスタントのどちらの宗派でも行われています。
献花に使われる花は白キク、白カーネーションのように茎がしっかりしていて長く持ちやすい品種の白いお花が選ばれます。
最近では無宗教葬やお別れ会、慰霊祭などでも献花を行うところが増えてきました。献花はご遺族の依頼により、葬儀社が準備することが多いようです。
供花(きょうか)
供花はきょうかと読みますが、まれに、くげと読むこともあります。亡くなった方にお供えするお花の意味で、故人の霊を慰める祭壇や葬儀の会場を飾るためのお花の名称です。
冒頭でもお伝えしたように、供花は生花と呼ぶこともあります。地域の慣習などによって異なるのですが、一般的にはスタンドにお花がアレンジされていて、親族一同、親戚一同、兄弟一同などと札を出すものを供花と呼ぶようです。祭壇の右側左側に飾るため、二基で一対としている地域も多いようです。
葬儀に供花を贈る際にご遺族側と確認しておきたいことは?

葬儀の際に友人や知人に供花を送りたいけれどやり方がわからないという方は以下のことを参考にしていただければと思います。
喪家から供花を辞退する旨の知らせは来ていないか
葬儀会場の広さや立地などの問題や、お礼の煩雑さを避けるために供花を辞退することもあります。
気持ちだからと無理にお花を送ることは、ご遺族に余計な迷惑をおかけしてしまうことにつながるため控えます。
故人と喪家の宗教宗派を把握し意向に沿うものを手配する
喪家側へ供花について問い合わせをします。供花を贈ってよいか、サイズはどの程度がよいか等に加え、どの宗教宗派の葬儀を行うかを確認しておくとよいでしょう。
心を込めて贈ったが会場のスペースに余裕がなく置けなくなったり、ご遺族や故人の宗教的意向に沿えない供花をしてしまうなど、トラブルをさけるために喪主や喪家ご遺族へ確認しましょう。
供花を葬儀へ手配する具体的な方法

方法は二つありますのでご紹介します。葬儀会場へ供花を手配する場合には、葬儀社に依頼するか花屋に依頼します。
ただ、葬儀社に手配を依頼するのが最も一般的な方法です。葬儀会場の広さ、空間、雰囲気にあったものを準備してもらえます。手順は以下です。
葬儀社へ依頼する場合
- 葬儀会場へ連絡し、日程喪主名を伝え、当該葬儀の担当葬儀社を尋ねる
- 葬儀社へ直接連絡し、供花を依頼する
- 葬儀当日に現金、または指定の方法で支払いをする
注意:友人一同や会社の同僚として供花を贈る場合、故人に近い親類などが供花の取りまとめを行っている場合があるので、一旦ご親類や周囲の方などへ連絡をするのが良いとされています。
花屋で依頼する場合
思い出の花を使用したいなど、自分で花材やデザインを決めた供花を贈りたい場合には、自分で花屋へ依頼する方法もあります。
しかし、葬儀会場への指定業者以外の供花の持ち込みを禁止していたり、特別料金が発生する場合がありますので、葬儀社へ供花の持ち込みが可能かどうかを確認します。以後の手順です。
- 葬儀会場広さ、故人の葬儀形式に合わせた花の色味や種類を確認しておく
- 会場名、住所、連絡先、喪主名、配達時間を正確に花屋へ伝える
- 花屋指定の方法で支払いをする
注意:宗教や会場の都合や地域のしきたりなどがあるため、事情に詳しい葬儀社へ依頼することが一般的であることは把握しておきましょう。
個人で花屋へ依頼する場合には、故人やご遺族の意向を尊重し、葬儀社への確認をするなど細心の注意をはかる必要があります。
葬儀へ供花をする際に気をつけたいマナーについて

故人に対する気持ちを表すために供花を送りたいと思う気持ちはよくわかりますが、マナー違反にはならないよう注意する必要があります。
相場金額からかけ離れた供花を贈らない
供花の費用について決まりはありませんが、相場からかけ離れた供花を送ること避けましょう。相場より高価すぎるものだと、ご遺族に必要以上にお礼を考えさせるなど気を遣わせてしまうため避けるのがマナーとされています。
故人との関係を基本にし常識的なものを選ぶようにしましょう。供花一つ(一基)10000円から20000円程度が平均相場とされています。一対を贈る場合には倍額が平均相場です。
適切な時間に供花を葬儀会場へ届ける
供花を葬儀会場へ届けるにはちょうど良い時間というものがあります。お通夜に供花をお届けしたい場合、葬儀会場へ当日の午前中葬儀・告別式の場合は、当日には届くように手配します。
あまり早過ぎると「死を予期して準備していた」と悪い印象をあたえてしまうことになりかねません。
お通夜や葬儀・告別式の始まる時間近くや遅れてしまうようなタイミングであれば、忙しい葬儀会場へ迷惑をかけてしまうことになりかねないので、供花を贈ることを取りやめる方が賢明です。
会社から贈る芳名名札は略して書かない
供花には札に○○一同などの名称が書かれていますが、それを芳名名札、または札名と呼びます。故人と関係があった会社が供花を贈る場合には、正式名称、肩書き、代表名を記載します。
アルファベットでの略称の方が有名でよく使われる企業の場合でも必ず正式名称を使用し、長くなってしまう場合には(株)(有)等会社名でない部分を省略します。部署で贈る場合には会社名と部署名○○一同とします。
キリスト教式葬儀の場合の供花の贈り方
ここまで日本では一般的な仏式の葬儀での生花について紹介してきました。神道のお葬式である神式葬儀においても生花、供花に関してはほとんど同じと言っても良いのですが、キリスト教式では少し異なるところがありますのでご紹介しておきます。
供花を届ける場所について
仏式神式葬儀においては葬儀会場へ供花を送ることが一般的ですが、キリスト教式ではご自宅へ届けます。お通夜が始まる前までにご自宅に到着するよう手配します。
故人宛に送るのではなく、ご遺族名でお届けします。ご遺族が葬儀会場である協会へ供花を運ぶ事になるので、運搬しやすさからバスケットなどをつかったアレンジが好まれます。
芳名名札は必要なし
仏式神式の葬儀においては、供花に○○一同や個人名でも札を付けることが一般的ですが、キリスト教式では名前の札を付けることはありません。キリスト教においては、花は故人を飾るものであり、返礼などの対象ではないからです。
お花屋さんによってはキリスト教式に慣れていないこともあるかも知れないので、供花に記名はしないことをしっかり伝えておきます。
花材の種類について
仏式神式の葬儀では白い菊が主に使用されます。日本において菊は「菊の御紋」、つまり皇室の象徴であり、寿命が長く神聖な花とされていた事から葬儀での使用が定着してきました。
キリスト教においてはそれらの意味は存在しないためあまり使用されておらず、主にユリやカーネーションが好まれています。供花の花材を選ぶ際には注意が必要です。
最後に
今回は親戚や知人友人の葬儀の際に生花を供花として贈る立場で知っておきたいことについて紹介させていただきました。
故人がどれほど親しい方であったとしても自分の贈りたい物を贈るというのではマナー違反である場合があります。
故人とご遺族喪家の意向に沿うような供花を贈れるように、宗教宗派について確認しておくことや会場のスペース雰囲気を確認しておくことは、案外忘れてしまいがちなポイントだと思います。
突然やってくる訃報をうけて、慌ててマナー違反をしてしまうことのないように事前に知識を得ておきましょう。
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