「親の葬式に行きたくない」「行けない」と悩んでいる方は少なくありません。
社会的には親の葬儀に参列するのが当然と考えられがちですが、複雑な親子関係や様々な事情で参列を迷うこともあるでしょう。
この記事では、親の葬式に行かない選択をする場合の考え方や対処法について、様々な視点から解説します。
親の葬式に行かないという選択肢は自分次第

親の葬式に参列すべきかどうかは、結論から言えば本人の意思次第です。
社会的には「当然参列すべき」という風潮がありますが、親との関係性や個人の事情によっては参列しない選択もあり得ます。
無理して参加するよりも、自分の気持ちに正直に向き合うことが大切な場合もあるのです。
親の葬式に行かない・行けない理由は様々
親の葬式に参列しない理由は、大きく分けて「行けない場合」と「行きたくない場合」があります。それぞれの状況によって、対応や心の持ち方も変わってきますよね。
まず「行けない場合」として考えられるのは:
- 遠方に住んでいる
仕事や生活の都合で、すぐに駆けつけられない場合があります。特に海外在住者は入国制限などで物理的に参列できないことも。 - 仕事の都合がつかない
急な不幸で休みが取れない、重要な仕事を任されている、など。特に自営業者や経営者は簡単に休めないケースもあります。 - 体調不良・妊娠中
自分自身が入院中や体調が優れない場合、妊娠中で移動が難しい場合などは無理をせず健康を優先すべきでしょう。
一方、「行きたくない場合」としては:
- 親との関係が良好でなかった
虐待やDVなど辛い経験がある場合、参列することで心の傷が再び開く恐れもあります。 - 他の親族との確執
兄弟姉妹や親族との関係が悪い場合、葬儀の場でトラブルになる可能性もあります。 - 宗教上の理由
自分と親の信仰する宗教が異なり、葬儀の形式に参加できない場合もあります。例えばエホバの証人の信者は仏教式の葬儀に参列しないことが多いようです。 - 心理的な負担が大きい
死別の悲しみに耐えられない、葬儀という場所そのものが苦手など、メンタル面での理由もあります。
どの理由にせよ、親の葬式に参列するかどうかは極めてプライベートな問題です。「行かないといけない」という社会的プレッシャーよりも、自分の気持ちや状況を優先することも、場合によっては必要なのではないでしょうか。
参列しないことの影響:考えるべき2つのポイント
親の葬式に参列しないと決めた場合、考慮すべきポイントが2つあります。「今後の親族関係」と「自分自身の後悔」です。
今後の親族との関係性
親の葬儀に参列しないことは、他の親族からは理解されにくい行為かもしれません。
特に親族が親との不仲の内情を知らない場合、「非常識」「親不孝」などと思われる可能性があります。これによって親族関係が悪化することも考えられるでしょう。
また遺産相続の場面でもトラブルに発展しやすくなります。「葬儀に顔も出さなかったのに遺産だけ欲しがる」と見られかねないからです。
もし今後も親族との関係を維持したいなら、参列しない理由を丁寧に説明するか、代わりの誠意を示す方法を考えましょう。
例えば:
- 香典を送る
- お花や供物を手配する
- 弔電を打つ
- 後日、個別に弔問する
などの方法で気持ちを表すことができます。
ただし、親族関係がすでに切れている、あるいは今後も関わる予定がないのであれば、この点はあまり気にする必要はないかもしれませんね。
自分が後悔しないかどうか
もう一つ重要なのは、自分自身が将来後悔しないかという点です。「最後の別れをしなかった」ことを悔やむ可能性はないでしょうか?
理由はどうあれ、死に顔をみとくのも悪くないと思います。親の死を受け入れること、すごく身近でいてすごく現実味がなくあっけないです。死を間近で受け入れたら、なにか変わるかも知れません。
確かに葬儀は故人との最後の対面の機会です。どんな関係であれ、その最後の時間が自分の気持ちの整理につながることもあります。
しかし、それが逆にトラウマを呼び起こすリスクもあるため、自分の心と丁寧に対話することが大切です。
迷ったときには「10年後の自分はどう思うだろうか」と想像してみるのも一つの方法です。後悔するくらいなら参列する、あるいは別の形で弔意を示す選択肢を検討してもいいかもしれません。
自分が喪主の立場なのに参列したくない場合

特に難しいケースとして、長男・長女など本来なら喪主を務めるべき立場なのに、参列したくない場合の対応について考えてみましょう。
他の親族に喪主を依頼する方法
喪主は必ずしも長男・長女が務める必要はありません。血縁関係が近い順に、次男・次女、兄弟姉妹、甥・姪などが代わることもできます。
参列したくない場合は、親族の中で理解してくれそうな人に事情を話し、喪主を引き受けてもらえないか相談してみましょう。
この場合、できれば以下のことを伝えておくとスムーズです:
- 葬儀費用の負担について
- 遺産相続についての意向
- 連絡先(急な判断が必要な場合など)
何より大切なのは、喪主を引き受けてくれる方への感謝の気持ちです。「本当に申し訳ないけど、喪主をお願いできないか」と丁寧にお願いすることで、関係性を悪化させずに済むことも多いでしょう。
親族がいない・頼れない場合の対処法
より困難なケースとして、頼れる親族がいない場合や、自分しか身内がいない場合はどうすればいいのでしょうか。
この場合、以下のような選択肢が考えられます:
- 葬儀社に全て任せる
葬儀社に状況を説明し、必要最低限の葬儀を依頼する方法があります。「密葬」や「直葬」(火葬のみ)など、シンプルな形式を選べば負担も少なくなります。 - 行政に相談する
身寄りがない場合、自治体が「行旅死亡人」として火葬を行うケースもあります。ただし、戸籍上親子関係がある場合は原則として拒否できないことが多いため、事前に市区町村に相談することをおすすめします。 - 弁護士などの専門家に依頼する
法的な手続きを含めて第三者に依頼することも可能です。費用はかかりますが、精神的負担を軽減できるメリットがあります。
いずれの場合も、親の死亡後の相続問題は別途考える必要があります。相続放棄を希望する場合は、死亡を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申立てる必要がありますので、早めに行動しましょう。
親の葬式に行かなかった人たち

実際に親の葬式に参列しなかった方々は、どのような理由や思いを抱えていたのでしょうか。
参列しなかった実例
「私の父は、父親(私の祖父)の葬式に行きませんでした。父が中学生くらいの時に、他に女の人を作り(子どもも)、尚且つ借金をしていて土地もなくして離婚をしており、大変苦労したそうです。父と父の姉はお見舞いも葬式も行きませんでした。」
別のユーザーはこのように述べています:
「姑が去年亡くなってますが、色々あり欠席してます、葬儀、告別式,法要もすべてです!でも後悔はないです、何故なら子供も私もいいようには思われなかったからです。これから先も出席はしないし、子供にもさせない予定です!」
このように、親子関係に複雑な事情がある場合、参列しないという選択をする方は少なくありません。重要なのは「自分が納得できる決断をすること」なのではないでしょうか。
参列した方がいいという意見
一方で、参列したほうがいいという意見もあります:
「行きたく無いです。でも、行く事に成るだろうと思ってます。涙は多分出ないと思います。」
このように、気が進まなくても社会的な義務感から参列する方もいます。また、「後悔しないため」という理由で参列を選ぶケースもあるようです。
まとめ:自分の気持ちと向き合い、後悔のない選択を
親の葬式に行くか行かないか、その判断は十人十色です。社会通念や周囲の目を気にするあまり、自分の本当の気持ちを押し殺すことが必ずしも正解とは限りません。大切なのは、自分自身が納得できる選択をすることではないでしょうか。
参列しないと決めた場合でも、後日お墓参りをする、自分なりの方法で故人を偲ぶなど、別の形で区切りをつける方法もあります。
どんな形であれ、自分の中で故人との関係に一定の決着をつけることが、自分自身の心の平安のためにも重要かもしれません。
最後に、このような悩みを抱えている方は決して一人ではありません。必要に応じて、信頼できる人や専門家に相談することも検討してみてください。
- 親の葬式に行かないことは非常識ですか?
-
一般的には親の葬式には参列するものと考えられていますが、参列しないことが必ずしも「非常識」とは言えません。親子関係の複雑さや個人の事情により、参列できない・したくない理由は様々です。周囲の目を気にするよりも、自分の気持ちに正直に向き合い、後悔のない選択をすることが大切です。
- 参列しない場合、どのように弔意を示せばいいですか?
-
参列できない場合は、香典を送る、お花や供物を手配する、弔電を打つ、後日個別に弔問するなどの方法があります。また、親族に対して参列できない事情を丁寧に説明することも大切です。参列しなくても、自分なりの方法で故人を偲び、弔意を示すことは可能です。
- 長男・長女で喪主になるはずだけど参列したくない場合はどうすればいい?
-
喪主は必ずしも長男・長女が務める必要はありません。信頼できる親族に事情を説明し、喪主を引き受けてもらうよう依頼することができます。その際は葬儀費用の負担や連絡方法などを事前に相談しておくとよいでしょう。親族がいない場合は、葬儀社に状況を説明し、直葬などシンプルな形式を選ぶ方法もあります。
コメント